2025年夏の全国高校野球選手権大会・甲子園でも、阪神園芸の「神整備」が再び脚光を浴びました。
大会序盤から天候の急変による雨天中断がいくつもあり、そのたびに彼らの迅速かつ正確なグラウンド復旧作業が選手と観客、そして全国の視線を釘付けにしました。
特に8月8日の横浜対敦賀気比戦では、大粒の雨が降る中でわずか40〜50分という短時間でグラウンドを試合可能な状態へと戻す離れ業を披露。
観客席は拍手と歓声に包まれ、SNS上でも「魔法のよう」「芸術そのもの」と称賛があふれました。
阪神園芸の整備は単なる土ならしではありません。
甲子園という“聖地”を守り続けるために、一年を通じて行われる土づくりや芝管理、そして試合中の瞬発力ある対応が融合した、まさに総合的な職人技。その背景には、長きにわたって受け継がれてきた理念とチームワークがあります。
今回の記事では、その驚異的な技術力の秘密や歴史、そして2025年の甲子園で見られた最新のエピソードまで、じっくり掘り下げてご紹介します。
阪神園芸とは?
- 本社は兵庫県西宮市
- 阪神電気鉄道(阪急阪神東宝グループ)の関連会社
- 公園や商業施設の緑化、スポーツ施設整備も手がける
- 代表的業務は阪神甲子園球場のグラウンド管理・整備
阪神園芸は「緑」と「スポーツ」をキーワードに、地域やスポーツ環境の整備を支えるプロフェッショナル企業です。特に甲子園における業務は、プロ野球だけでなく高校野球の舞台づくりにも欠かせません。
「神整備」と呼ばれるきっかけ
2017年10月、プロ野球のクライマックスシリーズ・ファーストステージの阪神―DeNA戦が、阪神園芸の「神整備」と呼ばれる技術が全国に知られる大きなきっかけとなりました。
この試合は激しい豪雨の中で行われ、内野は至る所に水たまりができ、外野の天然芝にも水が浮き始めている非常に悪いコンディションでした。
普通なら試合中止や延期が検討される状況でしたが、阪神園芸のグラウンドキーパーたちは多量の速乾性資材(土)をイニングごとに運び込み、絶え間なくグラウンドの水抜き・整備作業を続けました。
- 豪雨で内野が水浸し
- 大量のスポンジで水を吸い、新しい土を何度も入れて補修
- 数時間に及ぶ作業で試合を成立させた
このときの阪神園芸の驚異的な対応はネット上で「神整備」として一気に話題になり、多くのファンや選手、メディアから称賛が相次ぎました。
選手が泥だらけになる中でも試合を続けさせ、甲子園の聖地たる環境を守ったその粘り強さと技術力こそ、「神整備」と称賛される由来です。
また、阪神園芸は天候や土壌環境の細かな変化に即座に対応する知識と経験を持ち、単に機械や資材を使うだけでなく、「選手の気持ちになってグラウンドを作る」という理念を実践しています。
この総合力と使命感が、単なる整備を超えた「神の領域」の仕事と評価されています。

普通ならグランド不良で中止になってもおかしくないところを神整備で補修!感動しますね。
年間を通じた土づくりの秘密
阪神園芸の“神整備”は試合当日の作業だけでは成立しません。実はオフシーズンの1月から、翌シーズンに向けた大規模な土台づくりが行われています。
主な作業工程
- 内野の土を深さ25cm程度まで掘り起こす
- 水もちの良い黒土と、水はけの良い砂をブレンド
- 約1ヶ月半かけて丁寧に撹拌・均しを繰り返す
- 適度な弾力・硬さを持つ土壌を完成
4. 日常の整備も職人技
試合や練習日の整備も、阪神園芸の職人技が光ります。ポイントは「元に戻す」ことです。
- ずれた土を元の位置に戻す
- 勾配のわずかな変化も補正
- 水撒きで湿度管理し、硬さを維持

ただ平らにするだけじゃないんだ。“元に戻す”っていうプロ意識が半端ないんです。
2025年夏の甲子園での活躍
特に注目されたのは8月8日 横浜vs敦賀気比戦でした。
- 強い雨で中断
- 約48分間の整備で水たまり除去・土入れ・白線引き直し
- 1時間7分後に試合再開
観客席からは拍手、SNSでは「魔法」「芸術」と絶賛。横浜・為永皓選手や村田浩明監督も感謝の言葉を寄せました。
さらに、その後の試合でも阪神園芸は活躍を続けました。
8月11日には県岐阜商と日大山形の試合が雨で中断した際にも、わずか30~34分の短時間でグラウンド整備を完了させ、試合再開を可能にしました。
この日もスタンドからは大きな拍手と歓声が沸き起こり、SNS上では「神整備」「職人技」の称賛でトレンド入りするなど、大きな話題となりました。
2025年の夏の甲子園において阪神園芸は、繊細かつ的確に土や水分の状態をコントロールしながら、選手がベストな環境でプレーできるよう支えているのです。
短時間の雨天中断でも迅速な復旧を実現し、観客や選手、関係者から感謝と尊敬の声が絶えません。
技術と理念の継承
- 初代・藤本治一郎さん:「選手の身になって整備する」
- 2代目・辻啓之介さん
- 現チーフ・金沢健児さんへ継承
天候や土壌状況に応じた瞬時の判断力と緻密な技術は、職人ならではの経験と勘に支えられています。

まとめ
- 阪神園芸は阪神甲子園球場の整備で有名なプロ集団
- 黒土と砂のブレンド・25cm耕起作業で強固な土台
- 日常整備は「元に戻す」職人作業
- 2017年・2025年の雨天対応が象徴的
- 技術と理念が代々継承され“神整備”に
阪神園芸の“神整備”は、一日の作業だけでなく年間を通じた土づくりと細やかな日常整備、そして代々受け継がれた理念に支えられています。
激しい雨や過酷な条件下でも、選手が最高の状態でプレーできる舞台を作る。その姿勢は甲子園のもう一人の主役といえるでしょう。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとにご紹介しています。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
コメント